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    琉球の心の温度と易姓革命 

     私は神奈川の湘南に生まれ、そこで過ごした期間は17年程度ですが、母方の家系は沖縄の那覇出身です。そのため幼いころは何かと言えば母の沖縄への帰郷をともにしました。祖父の方は多くの事業を立ち上げた実業家で写真家。中国蘇州などを旅してまわったと聞いています。(その話がきっかけで私も去年蘇州に旅立ちました。)家系を辿ると那覇中心部を所有する地頭を勤める旧家だったようです。沖縄の血と内地(日本列島)の血が半分ずつ流れている私としては、沖縄に対しては日本一の観光スポットであるという感覚よりも沖縄の方々の「心の温度」、つまりアイデンティティーなるものに関心が向かうわけです。沖縄の史実には学ぶことがあります。
     
     そこで今日のお話は最近騒がしくなっている普天間基地移設問題についてですが、沖縄の方々はどのように思っているのでしょうか。そして内地の方々は沖縄が国家であったことは忘れてはいないでしょうか。沖縄は15世紀に国を興し、中国と日本からの圧力を利用しながら自国意識を創り上げてきた歴史を持っています。そして19世紀には琉球処分という形で現在の沖縄県になり、戦後の平和条約(1952年)で沖縄は日本に破棄されました。以下は天皇の意向をGHQに伝えた「寺崎メモ」で、米国の公文書に記されているものです。

    「天皇は、米軍が沖縄の軍事占領を続けることを希望している。それは、日本がソ連の影響を被ることを防ぎ、日米両国に有益で、この占領は、日本の主権を残存させた状態で25~50年の長期貸与の形がよいと、天皇は言っている。そうすれば、アメリカが日本に領土的野心をもっていないことを国民も納得するし、周辺の中国ソ連などの要求を断る理由にもなると天皇は考えている。」

     そして実際25年間、沖縄が犠牲になりアメリカに支配されました。当然に沖縄の人々は天皇に裏切られたのだと受け取りました。そして沖縄の返還後、天皇に報復を行うことになったのでした。このひめゆりの塔事件 - 1975は有名ですね。またこの期間まで軍縮の決議もほとんどなされず、米軍絡みの事件は社会問題になっていたのですが、大抵は隠蔽されていたというのが沖縄独立論を唱える方々の意見でしょう。しかしこれが日本の外交事情のしわ寄せによるものであることは確かです。

     沖縄の独立思想を考える上で鋭い知見を持っている佐藤勝氏の見解を引用させてもらいます。ちなみに佐藤氏も京都の同志社大学で学生時代を過ごし、後にロシア・チェコへと留学・駐在した方です。佐藤氏の母方は沖縄の久米島出身の方です。そして猫好き。(私は留学を志望する国はフィンランドとチェコでした。そして猫好き。ここまで一致することが多いと親近感が湧きます。)
     
     「内地には革命思想が存在せず、権威と権力が分立されている。権力の世界では、断絶や交替があるが、権威の世界においては、皇室の枠内で移動があるのみで、王朝交替は起きない。ここに日本の国家体制の基本原理があるのだが、これは沖縄以外の日本の国体の本義なのである。沖縄においては、革命の伝統が存在するのである。これは近代的な革命思想ではなく、天の意志が変化すれば、それに応じて地上の秩序も変化するという易姓革命思想なのである。」(『功利主義者の読書術』佐藤優、228貢)

     つまり、天は地上を王朝によって統治させるが、この王朝に天が見切りをつけたときに革命が起るという思想です。さらに次の相応しい権力者を選び出す主体は人民にあるのです。また天命から離れた権力者に忠誠を誓う習慣がありません。明治期の琉球処分への対応、太平洋戦争時への対応を考えてみますと、琉球処分の際は日本の一部になったことが王朝の交替にあたり、一部の権力者は中国に亡命して独立を唱えるが、指示はされず、すんなりと日本の支配を受け入れました。太平洋戦争中は内地のために激しく抵抗をしたが、戦後アメリカの統治に対しての抵抗運動は少なかった。このように内地とは根源的に違う「何か」が沖縄の人々にはくすぶっているのではないでしょうか。そして言うまでもなく、アジアの中継貿易を担っていた文化と独自の国家体制の論理を持つ沖縄の人々には誇りがあります。この誇りが強くなればなるほど先ほど述べた沖縄の方々の内地に対する疑問やささやかな違和感を「天命の変化」として捉える人々も増えることでしょう。普天間基地移設問題にはこうした論理が内在しているのではないでしょうか。

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    佐藤氏の文章には魅力があります。

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